トップ展示内容広島原爆>無韻の沈黙

無韻の沈黙

 -空間に堆積する無韻の沈黙

 

衝き当った天蓋の

まくれ拡がった死被の

垂れこめた雲の

薄闇の地上から

煙をはねのけ

歯がみし 

おどりあがり

合体して

黒い あかい 蒼い炎は

煌めく火の粉を吹き散らしながら

いまや全市のうえに

立ちあがった

藻のように ゆれゆれ

つきすすむ炎の群列

屠殺場へ曳かれていた牛の群れは

河岸をなだれ墜ち

灰いろの鳩が一羽

 

 

羽根をちぢめて橋のうえにころがる

ぴょこ ぴょこ

噴煙のしたから這い出て

火にのまれゆくのは

四足の

無数の人間

噴き崩れた余燼のかさなりに

髪をかきむしったまま

硬直した

呪いが燻ぶる

 

濃縮され

爆発した時間のあと

灼熱の憎悪だけが

ばくばくと拡がって

空間に堆積する

無韻の沈黙

       峠 三吉「炎」(抜粋)


広島 8月7日、爆心地から東へ500mの本通りから。まだ熱かった。(岸田貢宣氏撮影)
広島 8月7日、爆心地から東へ500mの本通りから。まだ熱かった。(岸田貢宣氏撮影)

 -がれきと燃えさしの広島

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中心部を望む。爆心地から1.4キロの京橋の欄干上から撮影。(1945年11月松重美人氏撮影)
(広島)京橋から市の中心部を望む。爆心地から1.4キロの京橋の欄干上から撮影。(1945年11月松重美人氏撮影)

 -満員電車の乗客のほとんどは黒こげに

広島 8月12日、爆心地から250mの紙屋町交差点で被爆した電車。満員電車の乗客のほとんどは黒こげとなった。(川原四儀氏撮影)
広島 8月12日、爆心地から250mの紙屋町交差点で被爆した電車。満員電車の乗客のほとんどは黒こげとなった。(川原四儀氏撮影)

 -なぜこんな目にあわねばならぬのか

黒こげになった練兵場の兵隊(広島)(中田伊都男氏撮影)
黒こげになった練兵場の兵隊(広島)(中田伊都男氏撮影)

 

げんしばくだん

三年 坂本はつみ

(広島市比治山小学校)

 

げんしばくだんがおちると

ひるがよるになって

人はおばけになる

「原子雲の下より」

 -校庭が火葬場になった

広島 8月8日 爆心地の川向かい、本川国民学校校庭にその付近の遺体が集められ荼毘(だび)にふされた。。(川本俊雄氏撮影)
広島 8月8日 爆心地の川向かい、本川国民学校校庭にその付近の遺体が集められ荼毘(だび)にふされた。。(川本俊雄氏撮影)

無題

 

 

しんるいの

長崎から

ぼくと

おかあちゃんと

ヒロシマに

かえろうと思って

汽車に

のると

ピカリとげんしばくだんが

ひかった

となりのおばあさんが

なむみょうほうれんげきょと

いった

ヒロシマにつくと

駅のところに

死んだ人が

つんでおいてあった

ひろしまの

 

 

 

 五年 岡野希臣(広島市南観音小学校)

 

家につくと

屋根のかわらは

とんでいた

ぼくかたの

おばあちゃんは

病気一つもしないで

いたのに

ピカドンには

まけてしもた

ぼくかたの

おばあちゃんは

ピカドンで

しんでしもおた

ぼくかたの

しんるいの

長崎の

おじさんも

しんでしもおた

「原子雲の下」より

 


●新着情報

2023年11月に山口県岩国市西岩国駅ふれあい交流館で開催された「原爆と戦争展」のご報告と、アンケートを掲載いたしました。

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●更新情報

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7/15 開催案内 掲載

戦争で犠牲となられた方々の御霊に謹んで哀悼の意を捧げます。そして、今もなお被爆による後遺症で苦しんでおられる方々に心からお見舞い申し上げます。 

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